スイスの国民的作家ゴットヘルフが生涯を送った村
リュッツェルフリューと
(LUTZERFLUE、ベルン州エンメンタール地方)
KULTURMUHLE(水車のある文化会館)


駅前の彫刻作品

 今回は、チーズで名高いエンメンタール地方で、文化の香り高いリュッツェルフリュー・ゴールドバッハを訪ねてみた。 

 2年前の1997年、スイスの国民的作家ゴットヘルフの生誕200年を記念して、ベルン州エンメンタール地方の小村リュッツェルフリューがスイス全国から30人の現代アーティストを招き、造形芸術作品で村が埋め尽くされた。ひとつひとつの作品がゴットヘルフの小説からインスピレーションを得てのものとなっている。村を歩くと、その時の作品が今でもいくつか残っていて、訪れる人の目を楽しませてくれる。

 ゴットヘルフ(1797年生〜1854年没)は、牧師の父親に伴ってこのエンメンタールの地に移り住み、1832年からは、リュッツェルフリューの牧師として住み着き、この地で生涯を閉じた。

ゴッドヘルフの銅像

 

 彼の残した作品は、オイゲン・レンチュ社の全集で42巻にのぼる膨大なもので、エンメンタールの人々の心に深い精神的影響を与えてきたと言える。

 エンメンタール独特の深い庇の家の並ぶ街道沿いに村を通り抜け、坂を下りていくと、昔ながらの水車を備えた建物に行き当たる。すぐ横には1996年エンメ川の木橋が全面的に改造された時の古い木橋の一部が移築され、この一角だけ郷土館の印象を与える。

 ここは、リュッツェルフリュー水車のある文化会館(KULTURMUHLE)である。1821年に建造された水車小屋で、1970年まで実際に利用されていたエンメンタール地方最大のものという。近年、篤志家の寄付によって、この水車が新しく改造され、水の流れに従って回転している。今も実際に小麦粉を挽くことができる。

 実際に動く水車の他に、バロック風の庭園や田園風のBiotopもあるこの文化会館(KULTURMUHLE)では、定期的に展示会、コンサートなどが行われている。それに加えて、宿泊施設も完備し、セミナー、結婚式、誕生パーティー、アペロなどにも利用できる設備が揃い、100人まで入れるフロアを始め、大小の部屋がある。

 この会館横にもゴットヘルフの作品を題材にした彫像が見られる。

 館長のフォン・グンテン氏は、大いに文化活動の拠点としてご利用いただきたい、と語る。

 エンメンタールの中央部に位置し、ベルンからおよそ30分、ルツェルン、チューリッヒからも1時間程度で出かけられるところ。

KULTURMUHLE全景と水車

 

詳しいお問い合せ先:
KULTURMUHLE LUTZERFLUE CH-3432 LUTZERFLUE
Tel 034 461 36 23 / Fax 034 461 81 24


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