モンテ・タマロ Monte Tamaro(ティチノ州)
アルプスの眺めとマリオ・ボッタ


アルプスの眺めとボッタ設計の教会

 スイス・イタリア語圏のティチノには、世界の頂点に立つ建築家マリオ・ボッタがいる。彼の発案でティチノに建築学校が創立され、メンドリシオが建築界のメッカになろうとしている。

 今回の「ちょっと近郊の旅」は、ティチノの自然の美しさとマリオ・ボッタの設計した建物の両方を一緒に味わうという少々欲張りな旅。めざすは、モンテ・タマロである。

 ティチノ州都ベリンツォーナから各駅停車の電車に乗り Rivela-Bironico 駅で下車。駅前から右手に向かってしばらく歩くと山手の方にもうゴンドラが見えてくる。ゴンドラのステーションまで約500メートル。めざすモンテ・タマロはこのゴンドラに乗って約15分のところ。

 冬には、スキーも充分楽しめ、夏はモンテ・タマロからモンテ・レマまで尾根の縦走が楽しめる。ゴンドラで登っていくと、山頂近くに水道橋を彷彿とさせる偉容のサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会が視野に入ってくる。まずこの形に驚かされるが、そのシンプルな様式にロマネスク様式を感じるのは私一人だけであろうか。山の斜面に立つ教会の全長は65メートル。水道橋にたとえれば、一番上の水が流れる部分の直線の道を進むと、先端部分にある直径15メートルの円筒型のお堂の上に出る。ここからは夏でも雪を頂くアルプスが一望できる。マリオ・ボッタのセンスにただただ脱帽。内装はイタリア人のエンゾ・クッチの手になる。毛筆を思わせる大胆な流線模様が見事で、堂内の後陣は、明るい光を一杯に受けた救いの手が浮び上がる。建築の匠と絵画の匠が響きあって神秘の空間を創り出している。

 もうひとつのこのモンテ・タマロの見どころは、モンテ・ローザ(ヨーロッパの最高峰)、マッターホルンを始めとするイタリア国境沿いの4千メートル級のアルプス連峰が、遠く真西の方向に眺望できることである。アルプスのまたひとつ違った顔が楽しめる。

問い合せ先
◎Monte Tamaro Telecabina da Rivera
Tel (091) 946 22 53
Fax (091) 946 47 48
http://www.montetamaro.ch
E-mail : info@montetamaro.ch


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